不動産 · 最終更新 · 2026-09-14
転貸(サブリース)の収支はどう組むか:仕入れ家賃、転貸家賃、空室、オーナーへの支払い
サブリースの利益 = 入居者から受け取るお金 − オーナーに支払うお金 − 空室損失。単純に見えて、二本の資金の流れが混ざり、空室が何度か重なると帳簿はすぐ崩れます。この記事で、サブリース帳簿の正しい構造を解説します。
転貸(サブリース)——建物一棟、あるいは一室を丸ごと借り受けて再び貸し出す——というビジネスモデルは、一言で要約できます。安く借りて高く貸し、差額を稼ぐ。しかし実際に始めると、最初に破綻するのは物件の仕入れ価格ではなく、たいてい帳簿のほうです。多くの転貸業者は3ヶ月目には「今月、実際にいくら入って、いくら支払うべきで、本当に黒字なのか」を区別できなくなります。この記事では、サブリース帳簿の正しい構造を解説します。
二本の資金の流れ、必ず分けて管理する
サブリース業者は常に二冊の帳簿を同時に抱えています:
入居者に対して:売掛金。 家賃は毎月入居者から受け取り、敷金も併せて預かります。水道光熱費は家賃に含めるか、個別メーターを設けて実費精算にします(下記参照)。
オーナーに対して:買掛金。 契約どおり上流のオーナーに支払います。通常は「敷金1ヶ月・家賃1ヶ月前払い」か、四半期ごとの支払いです。
この二本の流れは、頻度も金額も支払日も異なります。一つの入出金記録に混ぜてしまうのが、もっとも定番の失敗パターンです。月末の残高はそれなりに見えるのに、その半分は来月オーナーに支払うべきお金だった、というわけです。正しいのはこのやり方です:すべての入金を売掛請求に対応させ、すべての出金を買掛請求に対応させ、その差額だけが当月の経営結果です。
空室:サブリースの本当の殺し屋
サブリースと自社保有の最大の違いはこうです。部屋が空いている間、入居者からの収入は入らないのに、オーナーへの支払いは一日たりとも減りません。
感覚的な試算をしてみましょう。仕入れ家賃4,000/月、転貸家賃5,200/月、帳簿上の粗利差1,200。年間で2ヶ月の空室が出ると、空室損失 = 2 × 5,200 = 10,400 となり、大半の粗利差を持っていかれます。だからサブリースの価格判断は「転貸家賃は高いほどよい」ではなく、高い家賃と、より長い空室期間のバランスを取ることです。5,200で出すと6週間空くなら、4,900なら1週間で貸し切れる——後者のほうが得なことが多いのです。
身につけたい習慣が二つあります:
- 空室損失は「日数 × 日割り家賃」で記録すること。「今月はなんとなく不調」ではだめです。日割り家賃 = 月額家賃 ÷ 30(または実日数)。
- 稼働率を日々ウォッチすること。前年の稼働率が92%と85%では、その差がオーナーとの交渉で削り取った仕入れ価格以上に、通年の利益に響くことがあります。
損益分岐:まずこのラインを引く
物件を引き受ける前に計算しておくべきものです:損益分岐稼働率 =(年間オーナー支払額 + 年間固定費)÷(満室時年間収入 × 100%)
固定費には、仲介手数料の償却、リフォーム/改装費の償却(サブリースで定番の投資)、家具の減価償却が含まれます。仕入れ家賃4,000、年間固定費12,000、満室時年間収入5,200×12=62,400と仮定すると、損益分岐ライン =(48,000+12,000)÷62,400 ≈ 96%——つまりこの部屋はほぼ空室を出せないということになり、これでは契約を結ぶべきではありません。仕入れ価格を押さえるか、設備・内装を充実させて転貸家賃を引き上げるかです。サブリースの赤字の多くは運営の失敗ではなく、物件を受け取ったその日にこのラインを計算していなかったことにあります。
見落としやすい落とし穴
敷金の両端のズレ。 入居者からは「敷金1ヶ月・家賃1ヶ月前払い」で預かり、オーナーには「敷金2ヶ月・家賃1ヶ月前払い」を払う——敷金は収入ではなく負債です。しかも両端で金額が異なることが多く、返還時期も数ヶ月ずれ得るので、キャッシュフローは前もって組んでおく必要があります。
水道光熱費を誰が負担するか。 サブリースでは「家賃に光熱費込み」という条件がよくあります。入居者が気軽にエアコンをつけるたびに、超過分はあなたの差額から消えていきます。転貸家賃に余裕を持たせるか、個別メーターを付けて実費精算にするかです。
契約満了のズレ。 オーナーとは3年契約、入居者とは1年ごと——毎年、再募集に伴う空室リスクに直面し、3年目には物件を取り上げられる可能性もあります。上流契約を結ぶときは、「優先更新権」と「違約補償条項」のほうが、仕入れ価格を月100安く交渉するよりはるかに価値があります。
修繕責任。 経年劣化は自分が修繕(経費に計上)、入居者による破損は入居者が修繕(敷金から控除)、構造的な問題はオーナーが修繕(契約書に明記)。取り決めがなければ、修繕の一件ごとに揉め事が起きます。
帳簿自身にこの二本のラインを見張らせる
サブリースの会計構造——入居者への売掛金、オーナーへの買掛金、空室損失、稼働率——は、まさに私たちが開発している RentPilot の中核モデルです。物件に上流契約を紐付ければオーナーへの買掛請求が自動生成され、空室日数は日割り家賃で自動的に損失換算され、さらに「家賃を100上げるのと、空室を2週間余分に抱えるのと、どちらが得か」を検討するための空室シミュレーションスライダーも備わっています。完全オフライン、アカウント不要、データはあなたのスマホの中だけ。近日中に App Store と Google Play に登場予定です。
これから始める人は、まず帳簿のつけ方から考えるとよいでしょう。大家の家賃管理・記帳の方法 をご覧ください。実際に家賃滞納の入居者に出くわしたときの切り出し方は、家賃督促メッセージのテンプレート を参照してください。